2014年10月から2015年3月にかけて、テレビアニメで放映されていた「SHIROBAKO」が劇場版になりました。
テレビアニメの制作会社の裏側を赤裸々に、しかもコミカルに描いた「SHIROBAKO」です。まだ、SHIROBAKOを見ていない人にもお勧めしたいポイントと、SHIROBAKOの感想とネタバレをご紹介しましょう。
また劇場版『SHIROBAKO』に続編はあるのでしょうか?
目次
劇場版『SHIROBAKO』の感想は?
たった一言で述べると「面白い!」です。「アニメ現場が本当にこの通りだったら、大変だけれどやりがいあるのに」と、あおい達のように目指す人もいるのではないでしょうか、と思いました。
そして、もう少し細かいお話をすると、ミュージカルあり、任侠ありの物語構成は、映画館以外では絶対に楽しめないシーン満載でした。ちょっとクレヨンしんちゃんの劇場版にも似ているカモです。
さすが、アニメ制作会社大手PA.WORKSの作品だけあって、起承転結の見せ方が上手で、そのままでは淡々としてしまう物語を、うまく劇場版用に仕上げていました。
作品名 | 劇場版『SHIROBAKO』 |
製作国 | 日本 |
公開日 | 2020年2月29日 |
監督 | 水島努 |
キャラクターデザイン・総作画監督 | 関口可奈味 |
声優(キャスト) |
木村珠莉(宮森あおい) 千菅春香(坂木しずか) 大和田仁美(今井みどり) 山岡ゆり(矢野エリカ) 米澤円(佐藤沙羅) 田丸篤志(高橋球児) 中原麻衣(興津由佳) 小林裕介(平岡大輔) こぶしのぶゆき(葛城剛太郎) 佳村はるか(安原絵麻) 高野麻美(藤堂美沙) 佐倉綾音(宮井楓) 葉山いくみ(安藤つばき) 井澤詩織(久乃木愛) 松風雅也(渡辺隼) 吉野裕行(高梨太郎) 檜山修之(木下誠一) |
主題歌 | fhána「星をあつめて」(ランティス) |
上映時間 | -分 |
アニメ『SHIROBAKO』の概要をご紹介
まずは、アニメを見ていない人でも劇場版が楽しめるよう、アニメ『SHIROBAKO』の概要をご紹介しましょう。
SHIROBAKOの物語は、上山高校アニメーション同好会で過ごした5人の少女が、それぞれの夢を叶えるために上京し、アニメ関連の仕事で奮闘する物語です。5人の願いは、高校時代に中途半端に終わってしまった「七福神」のアニメを作り上げることです。
そして、5人は自分たちの掛け声として、ドーナツを持って「どんどんドーナツ、ドーンと行こう!」と、互いを鼓舞し励まし合っていました。
アニメでは、子どものころに大好きだったアニメを作った制作会社「武蔵野アニメーション」の制作に入社した宮森あおい。
アニメーターとして同じく武蔵野アニメーション所属になった安原絵麻。
声優を目指すもなかなか仕事に恵まれない坂木しずか。
そして、後輩で3Dデザイナーとして、就職するも何か違うとアニメーションCGを請け負う会社に転職する藤堂美沙。
脚本家を目指す女子大生今井みどりの物語でした。
あおいは先輩の矢野エリカについて、エクソダスの制作をするも、夢と現実のはざまでいつも悩んでいました。しかし、そんなとき、エリカが病気の親の面倒を見るために実家に帰省、武蔵野アニメーションには新しい制作担当の平岡大輔が入ります。
やる気のない平岡の本音を知りながらも、彼を立ち上がらせ、そして仲間を集めて『第三飛行少女隊』の制作のリーダーとして奮闘します。やがて、上山高校の友人たちが『第三飛行少女隊』の制作にかかわることになり、ラストのシーンで原作にはない新しいキャラクター「ルーシー」の声にしずかが抜擢されます。
無事『第三飛行少女隊』の最終回を迎え、5人はドーナツを手に自分たちの夢に一歩近づけたかな、と思うのでした。
劇場版『SHIROBAKO』ネタバレ
それでは、まだ劇場版を見ていない人でも、思わず気になってしまう劇場版『SHIROBAKO』のあらすじとネタバレをご紹介しましょう。
劇場版はアニメのラストから4年、それぞれの道で夢を叶えるために、今なお頑張り続ける5人のその後の物語です。
それでは、ネタバレとあらすじをお楽しみください・。
あれから4年の武蔵野アニメーション
劇場版SHIROBAKOは、アニメ版のラストから4年後のお話です。
アニメ版SHIROBAKOでは、ラストに「第三飛行少女隊」の制作に「宮森あおい、安原絵麻、坂木しずか、藤堂美沙、今井みどり」の5人が関わることになり、ラストの放送後のクランクアップで目標への第一歩を踏み出します。
その後、武蔵野アニメーションでは「ツーピース」というアニメが成功し、勢いに乗りますが、その次の作品がスポンサー都合で放送開始前に打ち切られてしまいます。未契約のまま見切り発進で中盤まで出来上がってしまった作品がお蔵入りになったことで、武蔵野アニメーションは多額の借金を背負うことになってしまいます。
責任を取った全社長の丸川正人は辞任、アニメーターの絵麻は後輩の久乃木愛と共に独立しました。制作担当の矢野エリカは再び宇都宮の実家に、高梨太郎と平岡大輔も二人でフリーのアニメプロデュースの仕事をしています。
看板アニメーターだったゴスロリの小笠原倫子もフリーに、高齢の杉江茂は老後の楽しみで近所の子どもたちに絵画教室を開いてしました。そして、エクソダスの後ケーキ屋さんに転職した本田豊は、今ではケーキ職人として、ケーキとスイーツのお店を開いています。
前半は、あの後に5人が立ち置かれている場所の紹介になっています。
武蔵野アニメーションでは、アニメ当時ラインプロデューサーだった渡辺隼が社長となっています。残っているメンバーは、宮森あおい、総務の興津由香、佐藤沙羅、安藤つばきとあの頃の半分も残っていません。
任されている仕事と言えば、以前は武蔵野アニメーションが制作をしていた『第三飛行少女隊』の下請けです。しかも、納得いかない内容にみんなくすぶっていました。何をしたいのか、迷いばかりで先が見えないあおい。
上山高校アニメーション同好会の仲間たち
『第三飛行少女隊』のラストで作画監督補佐を担当した絵麻は、愛と二人マンションを借りて同居しながら、フリーのアニメーターとして活躍していました。しかし、いつでも武蔵野アニメーションからの仕事があれば、受けると二人の思いは今でも、武蔵野アニメーションにあります。
『第三飛行少女隊』のラストで急遽登場することになった「ルーシー」役で、やっと声優としての仕事をつかんだ「ずかちゃん」ことしずかは、その可愛らしい容姿から、顔だし声優として声以外の仕事も受けるようになっていました。しかし、本当の仕事はバラエティーではなく、声の仕事がしたいと悩んでいました。
3Dクリエイターとして『第三飛行少女隊』で仕事を請け負った、スタジオカナブンの美沙は中堅クリエイターとして、後輩指導を担当。しかし、自分の思い描く仕事と後輩の反応の違い、考え方のすれ違いに戸惑いを感じていました。
『第三飛行少女隊』の時、シナリオライターの舞茸しめじに指示することになった「リーちゃん」ことみどりは、舞茸と一緒に仕事をするも、まだまだ舞茸の名前で仕事をさせてもらっている、という気持ちが抜けず自身のない毎日を送っていました。
またいつか、あおいと一緒にアニメを作りたい、上山高校の時に誓った「七福神」を目指したいと思いながらも、流されるような日々を送っていました。
始動!武蔵野アニメーション
あおいはある日、渡辺に本田の店に呼び出されます。そして、いきなり武蔵野アニメーション主導の劇場版『空中強襲揚陸艦SIVA』をやってみないか、と話しをされます。すでにCMも配信され劇場公開までなんと9カ月。一般の劇場版は2年の制作年数をかけて作るのに、絶対に無理とあおいは首を横に振ります。
2年もかけて作るから、高いクオリティーの作品ができるのですね。ということは、毎年劇場版を作っている「名探偵コナン」や「ポケットモンスター」は、すでに再来年の制作が始まっているのでしょうか。
今回の劇場版『SHIROBAKO』の面白いところは、劇中歌のような挿入歌が3曲流れます。1曲は「仕方ないのでやれやれ」、そして2曲目がミュージカルのように、あおいが彼女の大切なファンシードールの「ミモジーとロロ」と一緒に、エクソダスや第三飛行少女隊のキャラクターと共に歌います。
この歌の中で、あおいは渡辺の申し出を受ける決意をし、武蔵野アニメーションオリジナル『空中強襲揚陸艦SIVA』の制作が決定します。
あおいは、まず『エクソダス』『第三飛行少女隊』監督の木下誠一を説得。SIVAの元受けだった制作会社「げ~ぺ~う~」に企画をさんざん待たされた挙句、まるでぼろ雑巾のように投げ捨てられたことで、初めは受けることを拒否します。しかし、本田とあおいの説得で、なんとか参加、他にも次々とメンバーが戻ってきます。
今回は、SIVAの制作にウエスタンエンタテインメントのチーフプロデューサーとして受け継いだにも関わらず、「げ~ぺ~う~」のいい加減な態度で企画を中止、武蔵野アニメーションと一緒に制作をする宮井楓が仲間に入ります。
隠居生活の楽しみに子どもたちに絵画を教えていた杉江にも協力を要請、その代わりにあおいたちは絵画教室のアニメーション教室を手伝うことになります。その時に子どもたちと一緒に歌うのが、3曲目の挿入歌「なめろうマーチ」です。
武蔵野アニメーションの仕事があれば、と言っていた絵麻が作画監督を、3D監督に下柳、そして美沙がいるカナブンに、メカデザインを下柳は遠藤にと声をかけます。しかし、遠藤は8話まで完成しながらも企画がダメになってしまった「タイマス」への思い入れから、立ち直れずにいました。
下柳達の説得に、今一度頑張ろうと立ち上がった遠藤、そして太郎や平岡、エリカと第三飛行少女隊のメンバーが集結します。
いよいよ参戦!ずかちゃんとリーちゃん
制作もおおづめ、脚本の舞茸が悩み始めます。そんなとき、ヒロイン「トマト」の声優オーディションがありしずかが事務所を説得し、受けにきます。しずかの声を聴いた木下たちが「ルーシー?」と第三飛行少女隊のことを思い出します。
そして、しずかにもう1人のヒロイン「アルテ」のセリフを読むようにお願いします。しずかの声を聴いて何かを思いついた舞茸は、みどりを呼び出し彼女も脚本の手伝いとしてスタッフに加わることになります。
これで全員集合ですね!
おきまりの「悪役登場 げ~ぺ~う~」
「タイマス」作画や原画を活かしつつ、進行をすすめていくあおい達。順調に見えた武蔵野アニメーションに、魔の手が迫ります。
アニメでも登場した出版社のお偉いさんたちと、ゴルフ接待をしていたげ~ぺ~う~の社長が、自分がないがしろにしていた「SIVA」が劇場版になることを知ります。そして、武蔵野アニメーションに対して、権利の主張を申し立ててくるのです。
監督の木下が乗り込みますが、社長室で暴れて出禁になり、あおいたちはまた「タイマス」と同じことになってしまうのか、と愕然としてしまいます。しかし、そんな彼女の前に現れたのが、頼もしい助っ人楓でした。
あおいは「勝負服」と和服を渡され、楓と二人で「げ~ぺ~う~」に乗り込みます。そこで、繰り広げられるのが時代劇のような忍者とあおい、楓の戦い。コミカルなシーンですが、少し長いかなと感想を思った人もいるかもしれません。まさに、第三飛行少女隊の時に出版社に乗り込んだ木下の姿を彷彿とさせる場面です。
初めは、「げ~ぺ~う~」に言い負かされてしまうあおいですが、そこで楓が伝家の宝刀を抜きます。
そう「げ~ぺ~う~」が契約の印を押す前なので、何の権利もないう契約書です。「契約書で殴ろう!」ということですね。
しかし、契約をしていることや木下の言い分は証拠がないというげ~ぺ~う~の社長。そこにもう一つ楓が出したのが、社長と木下の会話を録音したボイスレコーダー!でした。すごい、やる時はやるね、木下監督です。
どんどんドーナツ!
無事に武蔵野アニメーションオリジナル作品としてクランクアップ、関係者だけの試写会が開かれますが木下もあおいも、何か物足りない顔をしています。
ふと元社長丸川の真似をしてカレーを作っていた木下は、物足りない気持ちをあおいに告げ、あおいもそれを感じていることを告げます。2人はスタッフ全員に頭を下げて、ラストの作り直しを願います。全員が納得できるものを、と言う一丸となった気持ちが、2人の申し入れを快く承知し、ラスト数週間で最後のシーンの作り直しが始まります。
劇場版の初日、5人は映画館に集まります。そして、5人はそれぞれドーナツを手に小さな声で「どんどんドーナツ」の掛け声を。
劇場映画は好評、かな?また、あおい達の新しい挑戦が始まります。
さて、劇場版『SHIROBAKO』に続編はあるのでしょうか?
劇場版『SHIROBAKO』続編はあるのか?
SHIROBAKOの物語での、あおい達の願いは彼女ら5人が、上山高校時代に作ったアニメーション「七福神」を、プロの技術で仕上げることです。
2クールのアニメでも、今回の劇場版でも、あおい達を支えるのは「七福神」にかける思いですが未だに実現されていません。
「七福神」を作るんだろう。作りたいなら企画を通せばいいじゃないか。と、今回も周囲の人に言われて奮起するあおいですが、その言葉で出来上がったのが「SIVA]です。
七福神を作りあげたら、本当のあおいたちの願いは、叶うはず。もちろん、叶ってしまったら?ファンとしては、その後彼女が達が燃え尽きてしまったら困ります。しかし、この願いを叶えるまで、あおいたちの戦いは続くのではないでしょうか。
と、ファン代表としての願いを込めて、SHIROBAKOの物語は、アニメなり劇場版なり、続編が作られるのではないか、と考えられます。
しかし、七福神ができてしまって、燃え尽きてしまうのも少し心配ですね。
劇場版『SHIROBAKO』まとめ
ここまであらすじを話されてしまうと、劇場版行かなくてもと思った人、それは大間違いです。文字にはできない、あおいたちの頑張りや葛藤、そして何よりもスクリーン一杯に繰り広げられるエンタテインメントは、劇場でなければ体験できません。
まだまだ、七福神に届かないあおいたちの夢。そして、新しい仲間の楓の登場と、SHIROBAKOの物語は続きます。
画像出典:http://shirobako-movie.com/