OUTLINE

中国・北京Mizuma & One Galleryにて

中目黒・アトリエにて

千葉の自宅近くの海岸で待つ初日の出

東京市ヶ谷ミヅマアートギャラリーでの個展「絵バカ」にて

解 説

会田誠は多岐にわたる制作技法で多くの作品を作り続けている現代美術の作家です。しかし、毎回モチーフは変わり、それに従って技法も変わっていきます。一見、芸風(スタイル)が定まっていないように見えますが、技法や描写力よりも観念的側面に主眼を置くコンセプチュアルアーティストです。
少女趣味(ロリコン)や性器や糞尿などをモチーフにした変態的とも評される作品が多く、その過激な描写で時代に揺さぶりをかける美術家として、これまでメディアは伝えてきました。そのモチーフの過激さゆえ、展示する美術館にとって、"取り扱い注意の危険な作家"のレッテルが貼られていたことも事実です。
しかし、会田誠はその実体を掴まえさせることもなく、影さえも踏ませません。
生まれながらのアーティストを標榜する会田誠は酒をこよなく愛しながらも、常に覚醒した魂の持ち主といえます。子供の頃、多動性障害(ADHD)に悩み、学校や集団生活になじまず、問題児として生きてきたという会田は16歳の時、「芸術」というキーワードに出くわし、今の自分のままでよいのだと、迷わなくなったといいます。
物語は2009年7月から2010年5月の彼の個展まで、海外(サンフランシスコ・北京)と国内各地で、彼の創作の現場に密着し、完成に向けての作家の葛藤を縦軸に、現代美術家で妻の岡田裕子と息子寅次郎との心温まる交流のエピソードがその都度、挿入されます。現在、会田誠は作家人生において、特筆すべき大作を次々と制作しています。体力や気力が最も充実している今だからこそ、巨大な作品に挑みたいと考えています。
カメラは創作中の彼のつぶやきを克明に拾い、美術家の心の在りようが赤裸々に描かれます。作品は作家が納得するまで決して完成しません。そのゴールは作家にしか見えない。アーティスト会田誠のタメ息とともに、作品は予定通り、遅れに遅れ、それでも少しずつ完成に近づいてゆきます。自らの内面と切り結びながら、飄々と創作する現代美術家の心模様を静謐に描きます。